映画

 「寝てる時とご飯を食べてる時かな」『14才のハラワタ』2009年 監督・脚本/佐山もえみ

この映画のレビューを映画情報サイト「INTRO」に書かせていただいたところ、 プレスシートにも引用していただけて、とても嬉しい。ありがとうございました。 しかも、三木聡監督と本橋成一監督と、 更に! 松江哲明監督と同じところに載せていただけて…… 感…

どうにも好きで。

あああああああああああ 見たい!「あんにょん由美香」が見たい!一体いつになったら見られるんだ、もう。と松江哲明監督のブログを読んで身悶えする日々が、もうずっと続いている。 そもそも「童貞。をプロデュース」を見て 仕掛けの見事さとそれを映画とし…

「妻の貌」 監督/川本昭人

「妻の貌」(08)の監督・川本昭人さんは、広島在住のアマチュアとして自身の家族を半世紀以上撮影し続けている。それらの映像を元に既に何本かの短編を発表しており、「妻の貌」はその集大成として妻キヨ子さんを中心に再編集されたものだ。 二人は昭和19年…

この世の そこかしこに 奇跡は埋もれているのに。『フィッシュストーリー』2009年 監督/中村義洋 出演/濱田岳、大森南朋、多部未華子、森山未來、伊藤淳史

伊坂幸太郎に手を出すな。 そう前々から思っていた。伊坂幸太郎の小説は、どれも面白く、どれも魅力的、そして何しろ売れている。映画にしたいと思う人が多くいることは、容易に想像がつく。舞台は大半が日常の世界であるから、映像化のハードルが低そうだと…

これは「ガール」の物語。「ホノカアボーイ」

映画「ホノカアボーイ」は、日本人の男の子レオがハワイ島の小さな町ホノカアにやってくるところから始まる。 最初は、恋人と。半年後に、彼女に振られて一人で。 映画館で映写助手として働き始めるレオは、おおらかでくいしんぼうの映画館の女主人エデリや…

切ない2DK「今、僕は」

20歳を過ぎても仕事に就かず、自室に閉じこもっている悟。ゲームと漫画で時間をつぶし、食べ物がなくなればコンビニに行く。 一緒に暮らす母親は、息子をとがめることができない。停滞した日々が続いていく…… 「今、僕は」(07)は、そんな彼の生活をひたすら…

満島ひかるの白目を見よ。「愛のむきだし」

先日、初対面の人に趣味を聞かれ 「映画を見るのが好き」と言ったところ 「最近の映画で おすすめあります?」と言われてしまった。 こまった。苦手な質問だ。 その時 とっさに言ったのが 「そうですねえ “愛のむきだし”っていう映画が」 だったのだけれど、…

真剣12人しゃべり場「12人の怒れる男」

「十二人の怒れる男」を学生の頃見て、そのあまりの面白さに驚いた記憶がある。 登場人物は、ある殺人事件の審判を任された十二人の陪審員だけ。 舞台は密室。 そんなミニマムなスタイルがカッコいい。 限られた条件なのに、少しの手がかりと十二人の陪審員…

“いい映画”であることは否定しないけれど。「おくりびと」

「おくりびと」(08)は、東京でチェロ奏者を目指す主人公が、所属先の楽団の解散で夢を諦め、妻と共に故郷の山形に戻るところから始まる。その地で主人公が出会ったのは、遺体を清め棺に納める納棺師という仕事だったのだが...... この映画は、何より納棺師と…

フランスっておしゃべり。「パリ、恋人たちの二日間」

個人的に、「ジュリー・デルピー三番勝負」の最終日。 最後の日にふさわしく、今日は ジュリー・デルピーが監督・脚本・主演・音楽そして編集もした 「パリ、恋人たちの二日間」。 付き合って2年になるフランス人女性とアメリカ人男性のカップルが 女性の実…

本当に喋ってるだけの80分。それが素敵。「ビフォア・サンセット」

むかしむかし、ジュリー・デルピー主演の「ビフォア・サンライズ」、 当時のタイトル「恋人までの距離(ディスタンス)」を見た。 列車内で偶然知り合った男女が 夕方降り立ったウィーンで 翌朝の出発まで過ごす物語。 二人がウィーンの街中を歩きながら、 時…

中村監督は、悪くない。「チーム・バチスタの栄光」

中村義洋監督が、ちょっと気になっていた。 きっかけは「ルート225」と「アヒルと鴨のコインロッカー」。 藤野千夜の小説が原作の、パラレルワールドに迷い込んだ姉弟を描く 「ルート225」(2005)は、見事だった。 原作の“これはハズしちゃいけない”ところを …

 三谷幸喜と三人の女

三谷幸喜の作品に、女は三人しかいない。 魔性の女と 天然の女と 戸田恵子。 言い換えると、 不可解ながらも惹き付けられる しかし 高嶺の花で手は出せない 大抵の場合 奔放で思わせぶりでセクシーな女と、 手が届いて かわいくて おばかな どっちかというと…

ジョニー・トーの凄さが分かった、気がした一本。「ターンレフト・ターンライト」

ジョニー・トー週間最終日は、「ターンレフト・ターンライト」(02)。 打って変わってのラブコメ。主演は超メジャーの金城武。 ジョニーさんが「自分の好きな映画を撮るため」に撮った部類の映画、 なのかなと思いつつ鑑賞。 ...すごい! そもそも むちゃくち…

雨は降らない。悲鳴が聞こえた。「雨のしのび逢い」

VHSに代わりDVDが普及することで、 ひそかに期待していたことがありました。 1)映画を映画館で見る以外のメディアが VHSからDVDに移行する 2)厚さが薄くなるので、レンタルビデオ店の棚に余裕が生まれるので 3)今までは入荷しなかったようなマイナーな映…

落差と人間臭さが素敵。「エレクション 黒社会」

香港マフィアの最大組織で行われる会長選挙。 新しいリーダーをめぐる騒動を描いた ジョニー・トー監督 2005年の映画。 リーダーの証となる「竜頭棍」をめぐる どたばたヴァイオレンスと ユニークな残酷シーン(...レンゲを、なあ)、 衝撃のラストシーンにつ…

前半は傑作。「WALL・E」

絵のとてつもなさ、話の凝り方、メッセージ性に感じる志の高さ.., ピクサーの水準の高さには、毎回驚かされます。 とりあえず、代金分のことは、ちゃんとある。 ですが、「ニモ」からは「うーん、いまひとつ」と思って 劇場を出ることが続きました。 ちなみ…

THE・美学「エグザイル/絆」…の前に、「PTU」

広島ではまだ公開されていない「エグザイル/絆」を 旅先で見た。 それについて書くためにも、まずは勉強。 まだ2作しかジョニー・トー監督の映画を見てないので、 今週は「ジョニー・トー週間」として4本見ることにした。 まずは「PTU」(03、香港)。 商業的…

もっと刺繍が見たかったっ「マルタのやさしい刺繍」

夫に先立たれた80歳のマルタが かつての夢を実現すべく ランジェリーショップを開く。 しかし、閉鎖的な街で、彼女の夢は受け入れられず... 「マルタのやさしい刺繍」は 80歳の女性の奮起と、 彼女に触発されて新しいことに挑戦し始める女性たちを描く 2006…

 *モントリオール映画祭は信頼できるのか?「誰も守ってくれない」

姿を消した少女を探し、街を走り回る男。 少女の行方を知る少年を見つけ、男は掴みかかって問いただす。 「彼女はどこにいる?」 「あっちのホテル……」 それだけ聞くと、男は少年を捨て“あっち”に向かって走り去る。 場面が変わり、いきなりホテルの廊下を走…

*どうした私?

ある日のメモに「日曜洋画激情」と書いてありました。 どうした? たしかに 淀川長治さんは 私が一番好きな 映画評論家ですけれども。

*地味だけど手堅く光る「青い鳥」

主役である新任教師が、学校にやってくる。 けれどカメラは、歩道を歩く足先やバスで本を読む手元、 廊下を歩く後ろ姿を映すだけで、彼の正面をすぐに見せない。 まるで、「ヒーロー登場!」といった感じの演出だ。 教師の顔は、教室について生徒たちと対面…

そこに生きている、ということ。「タイマグラばあちゃん」

ずっと心に引っかかっている 変わったタイトルの映画があった。 たまに上映されるのだけれど、 されても短時間だったり モーニングショーだったりして なかなかタイミングが合わず 未見のままだった。 今朝、何故か それをなんとなく思い出し、 ああ そうい…

* タナダユキ監督No.1映画!「俺たちに明日はないッス」

私がいままで観たタナダさんが監督(あるいは脚本参加)した 映画の中では、これが一番好きっ。 帰り道、エンドロールで流れた「17才」を歌いながら歩いた。 見た映画が良かった時は、 いつも流れていた曲を歌って帰ってしまう。 今回は、映画が終わって席を立…

*2009年の映画ベスト10に入れたい!「大阪ハムレット」

原作は、「少年アシベ」などのギャグ4コマで知られる森下裕美。 「大阪ハムレット」は連作短編集で、 大阪の下町に暮らす 悩み多き人々の日常生活を描いている。 2006年に第10回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、 2007年に第11回手塚治虫文化賞短編賞…

今回は五七五で。「ボーン」三部作

「ボーン」三部作を見て、一句。 スパイはね 車の運転 超うまい ...三部作見て一番心に残ったのは 一作目「ボーン・アイデンティティ」での ミニのカーチェイス、でした。 (それでいいのか?) 他のも、同じ感じ。 御免。

 *Vive la photo.「ヒロシマ・モナムール」2

50年前、 エマニュエル・リヴァさんが 広島の街を撮影する時に使っていたのは 二眼レフだった。 被写体と顔を見合わせて写すカメラと違って、 二眼レフは直方体の長細いボディを胸の前に抱えて 覗き込むようにして写す。 早く撮るタイプのカメラではない。 …

 *果敢で、美しい。「ヒロシマ・モナムール」

「ヒロシマ・モナムール」(1959年)という映画がある。 原爆投下後の 広島で出会った男と女の 24時間を描く。 女は、映画のロケで広島を訪れたフランス人女優。 男は、原爆で家族を失った日本人。 マルグリット・デュラスによる脚本の科白は美しく どの言葉も…

 *このカオスを見よ 「その日の前に」

昨年見た大林宣彦監督の「転校生 さよならあなた」には、驚かされた。 常に斜めに傾いた画面やくるくると変わるカットなどに びっくりするのは、まだ早い。 旧作の“性転換コメディ”にとどまらず“生と死”を全面に押し出し リメイク、などという言葉では収まら…