本当に喋ってるだけの80分。それが素敵。「ビフォア・サンセット」


むかしむかし、ジュリー・デルピー主演の「ビフォア・サンライズ」、
当時のタイトル「恋人までの距離(ディスタンス)」を見た。
列車内で偶然知り合った男女が
夕方降り立ったウィーンで 翌朝の出発まで過ごす物語。
二人がウィーンの街中を歩きながら、
時に路面電車に乗ったり、カフェでお茶を飲んだりしながら
ただただ話し続ける、という作り方。
なかなかしゃれた映画でした。


久しぶりに前作を見直し、今回続編を見ましたが
続編は「ただただ話し続ける」に一層磨きがかかっていました。
前作で知り合った男女が、
8年後パリで再会するところから始まる「ビフォア・サンセット」。
男が 住んでいるニューヨーク行きの飛行機に乗るまで80分、
「もう少し」「もう少し」と別れを少しずつ引き延ばしながら、
カフェや船や車やパリの街で、
二人の会話が続いていくのです。
前作では夕方から朝にかけての話だったので
省略があったのですが、今回はリアルタイム。
終始話しっぱなしの二人に付き合うのですが
これが 会話のつまらないところも おもしろいところも含めて
(会話はタランティーノの映画が面白いなあ。どうしてだろう)
楽しい。
風景も楽しい。
ただ話すだけでなく、次第に二人の現状が明らかになる
ちょっとドラマチックなくだりも 忍ばされていて上手い。
ラストは、はっきり答えを出さなかった前作以上に
あいまいな終わり方。
でもそれがいい!
見る人にまかせてくれるのが、嬉しい。


前作以上に シャレた映画。
おすすめです。