前半は傑作。「WALL・E」


絵のとてつもなさ、話の凝り方、メッセージ性に感じる志の高さ..,
ピクサーの水準の高さには、毎回驚かされます。
とりあえず、代金分のことは、ちゃんとある。
ですが、「ニモ」からは「うーん、いまひとつ」と思って
劇場を出ることが続きました。


ちなみに、私がピクサーで一番好きなのは
2001年の「モンスターズ・インク」。
何度見ても、ラストシーンでは涙がにじんでしまいます。
大好きです。


さて、「WALL・E」。
一言で感想を言ってしまえば、
「人間、いらなくない?」


最初の数十分は、もしやこの映画、名作なのでは?
と、ちょっと期待してしまいました。
日々 ゴミを四角く固めては高く積み上げて、
古い古いミュージカル映画に心をときめかせる、
喋らないウォーリーの日常を
静かに淡々と描く前半は
ほんとに名場面だと 思います。
もっと見ていたかったし、
“700年の孤独”を描く意味でも もっと長くてもいいと思う
前半でした。
散りばめられた遊びの部分も素敵。
ウォーリーの家の くるくる回転する棚や、
先割れスプーンを置く位置など、
細かな設定や描写が考え抜かれていて かつ遊び心があって
見ていて 幸せになるくらい楽しかった。
指輪を拾った時、指輪を捨ててケースだけ持ち帰るところもいい!
(ウォーリーの起動音がMacの起動音と同じところやiPodの登場には、
あまりに私の日常に近すぎて やられちゃいました)


...なのだけど イヴが登場して
宇宙船に行って 人間が登場してしまうと 物語は失速。
私の関心は 削がれてしまいました。
後半の展開は
ピクサーらしいと言えば らしいかもしれませんが、
ロボットだけでカンペキに作り上げられていた前半に
魅せられていた私にとっては
消化器での宇宙ダンスはともかく
ちょっと残念な展開でした。


なぜあの「モンスターズ・インク」を作ったピクサー
こういう脚本で良しとしてしまうのかが とても不思議です。
人間と喋るモンスターの共存する意味があり、
シンプルでブレのない物語と
後半に向けて盛り上がり ほろりとさせられる構成...
モンスターズ・インク」、あれは幻だったのか?


でも、エンドロールは相変わらずよかった。
毎回どんな風に 楽しませてくれるのか 楽しみにしています。
今回は、ラストシーンから始まる地球の歴史を 絵画技法の歴史に重ねて表現、
後半は、ゲーム画面みたいに 再度物語のおさらいが始まって。
そして 最後の最後に にやっとしちゃうサプライズも。


とはいえ、水準は普通以上の
さすがピクサー、な 一本。
特に前半は力強くオススメです!