2008-01-01から1年間の記事一覧

 *Vive la photo.「ヒロシマ・モナムール」2

50年前、 エマニュエル・リヴァさんが 広島の街を撮影する時に使っていたのは 二眼レフだった。 被写体と顔を見合わせて写すカメラと違って、 二眼レフは直方体の長細いボディを胸の前に抱えて 覗き込むようにして写す。 早く撮るタイプのカメラではない。 …

 *果敢で、美しい。「ヒロシマ・モナムール」

「ヒロシマ・モナムール」(1959年)という映画がある。 原爆投下後の 広島で出会った男と女の 24時間を描く。 女は、映画のロケで広島を訪れたフランス人女優。 男は、原爆で家族を失った日本人。 マルグリット・デュラスによる脚本の科白は美しく どの言葉も…

 *このカオスを見よ 「その日の前に」

昨年見た大林宣彦監督の「転校生 さよならあなた」には、驚かされた。 常に斜めに傾いた画面やくるくると変わるカットなどに びっくりするのは、まだ早い。 旧作の“性転換コメディ”にとどまらず“生と死”を全面に押し出し リメイク、などという言葉では収まら…

イーストウッドも好きだった「沓掛時次郎 遊侠一匹」

母方の叔父にあの山中貞雄を持つ 映画監督・加藤泰。 山中貞雄監督作品と共に、加藤泰監督作品も 広島サロンシネマにて集中的に上映されています。 今回見たのは「沓掛時次郎 遊侠一匹」。 加藤泰監督の代名詞にして最高傑作だとか。 渡世人・沓掛時次郎は …

パスタを作りながら思い出す「イエスタデイズ」

今日の半額食材は、60円!のブロッコリー。 そう簡単に安い国産のブロッコリーが手に入ることがないので、 買えると作りたくなるのがパスタです。 最近パスタを作っているとどうも思い出してならないのが 2008年の「イエスタデイズ」という映画。 余命僅かな…

20代の若者が撮ったとは思えない...!「人情紙風船」

天才と言われる映画監督・山中貞雄の 現在見ることのできる三本の映画のうちの一本。 上映を見にいった日、スケジュールが急に変更になり その日限りの上映だと スタッフの方に知らされる。 今日見に来て運が良かった、と その時は思ったけれど 見られなかっ…

映画が全部こうだったらいいのに。「丹下左膳余話・百萬両の壷」

広島サロンシネマで行われている “見ずに死ねるかニッポン! 昭和映画傑作全集”で拝見。 あああ。 スタッフの方々が口々に 薦めてくださるだけのことがある、よい映画でした。 観終わって、ふと 「映画が全部、こんなのだったらいいのに」と 思ったくらい。 …

カッコ良さには理由がある。 「ヤング@ハート」

面白い! ドキュメンタリーは面白いものが次々上映されますが、 これもまた期待を裏切りません。 登場するのは、75歳から93歳(撮影当時)までの老人たち。 彼らは、「ヤング@ハート」というコーラス隊を組み、 今もアメリカ各地で講演しています。 しかも…

これを見て、簡単に泣いてはいけない「ブタがいた教室」

もとになっているのは、 1990年に大阪の小学校で行われた、 「ある授業」を追いかけたドキュメンタリー。 このドキュメンタリーが、テレビで放映されて反響を呼んだ。 「ある授業」とは、クラスでブタを育てて食べる、というもの。 映画でも、妻夫木聡演じる…

お金のかかった昼メロ「ブーリン家の姉妹」

アンとメアリとイギリス国王に焦点をしぼった、 メロメロドラマコスチュームプレイ。 どろどろ物語を、たっぷり堪能しました。 「秋見るのにぴったりですよ。 こってりした色合いの重ね着衣装は見ていて楽しいし。 スカーレット・ヨハンソンとナタリー・ポー…

徹底的な観客への奉仕にぐっとくる 「片腕マシンガール」

なんと、 あの井口昇監督が 横川シネマへ! 松尾スズキさんの本などで気になっていた監督の話を伺うべく、 「片腕マシンガール」を見に行ってきました。私などには手の届くべくもない あんなことやこんなことを 内に秘めているにも関わらず 一見ぽわぽわした…

独特の世界に浸る幸せ「ブレス」

広島サロンシネマのサイトに 掲示板があるのですが、 そこに サロンシネマの支配人さんが書かれているおすすめコメントが、 最近 気になっています。 「イントゥ・ザ・ワイルド」「接吻」ときて、 今回のオススメは、「ブレス」。 1週間の限定公開、しかも…

ほろにが喫茶「純喫茶磯辺」

かわいくてしっかりものな女子高生(仲里依沙)は、 ちゃらんぽらんな父親(宮迫博之)と二人暮し。 ある日父親が、突然親の遺産を相続することに。 父親はとびきり不順な動機から、喫茶店を始めることを決心するのだが…と始まる、「純喫茶磯辺」。 「ゆるゆ…

分からない。分からない。でも、心を掴まれる。「接吻」

分からない。分からない。でも。 「主人公の気持ちが分かる」などという 甘っちょろい感想を吹き飛ばして なおも すっくと立つ、孤高の映画。 フィクションだ。 ほとんどあり得ない状況、あり得ない出会い。 でも、それが起こってしまう。それを描いてしまう…

観た後は、珈琲の味が変わります。「おいしい珈琲の真実」

大都市で飲むトールサイズのコーヒー、一杯330円。 アフリカのコーヒー農家に支払われる対価、約3円。 どうしてこんな妙なことが起きているの? 大手企業がコーヒー市場で取引して価格を決めるため、 回り回ってコーヒー農家への対価が考えられないほど低い…

心ほどける、猫映画「ネコナデ」

私の好きな映画館シネツインでは、 モーニングショーで「ネコナデ」を上映した後 レギュラーで「グーグーだって猫である」を上映して、 さらに レイトショーで「ネコナデ」を上映するという、 猫祭り開催中。 このプログラムに、とっても 心ひかれました。 …

楽しいけど… 長いよ?「SATC」

すごい。 こんなに あけっぴろげに 日本で 「SEX」という単語が連呼されたことが 今まで あっただろうか。 でも 映画のタイトルになるとOKなんですね。 王様のブランチとか見てて、思いました。 スマステで慎吾ちゃんも言ってました。 「だって、“SEXと街”で…

後半の演出にがっかり。「落語娘」

ところで、 中原俊監督の「桜の園」は、私の好きな映画です。 ある高校演劇部の一日を描いた物語で、原作は吉田秋生。 屋上に佇む つみきみほの 冷たい水のような新鮮で鋭い表情、 好きな女の子と肩を寄せ合って だんだんカメラに近づいていく中島ひろ子。 …

怠惰な日常に、バックドロップ! 「バックドロップ クルディスタン

難民申請が認められず、強制送還の危険にさらされている クルド人・カザンスタン一家のドキュメンタリー、 「バックドロップ・クルディスタン」を見に 横川シネマへ。 監督は、日本でクルド人一家に出会った野本大さん。 一言で言えば、とても面白かった。 …

「トウキョウソナタ」の、画の力

「トウキョウソナタ」記者会見に 参加させていただく。 ホラー作品が有名な監督だけに、 どんな方かとドキドキしつつ伺ったけれど やわらかい雰囲気の方でした。 お話の中では、画面作りへのこだわりが 印象的。 「トウキョウソナタ」は、 重たいテーマであ…

吉祥寺≒宇宙

先日、 映画「グーグーだって猫である」公開キャンペーンで 犬童一心監督と小泉今日子さんの記者会見に 参加させていただきました。 こんなの、私が言うまでもありませんが。 小泉さんは、やはり素敵。 自然体、という言葉を使うことが 野暮なくらい、 ふわ…