独特の世界に浸る幸せ「ブレス」

広島サロンシネマのサイトに
掲示板があるのですが、
そこに サロンシネマの支配人さんが書かれているおすすめコメントが、
最近 気になっています。


イントゥ・ザ・ワイルド」「接吻」ときて、
今回のオススメは、「ブレス」。
1週間の限定公開、しかも昼1回の上映だったので
半ばあきらめていたのですが
やはり これは見なくては。と、一念発起。行ってしまいました。


で。行って良かったです。
キム・ギドクの世界に、とっぷりと浸れました。


ある死刑囚が、自殺を図る。
そのニュースをテレビで見て、彼に面会しに女は刑務所に行く。
「死にたい」と思う男、「5分間死んだことがある」と言う女。
女は面会室に花を咲かせ、刑務所にいるしかない男に四季を見せます。
普段言葉を発しない彼女の歌は、
大人の下手なお遊戯のようで、痛々しく凄みのあるシーン。
でも男はそれに見入り、唇を重ねたい衝動に駆られます。


面会する二人を、カメラで見ている男がいます。
二人が会えるかどうかも、
何分間会えるのかも、彼次第。
モニタに写る影でしか登場しないものの
その不思議な存在感には、何か解釈せずにはいられなくなります。
たとえば 彼が全ての支配者である神であるなら、
出会いと行為を理不尽にコントロールされ受け入れざるを得ない男女は
しがない存在としての人間なのだろうか。などと。


男と女は それぞれ違う状況に生きていながら、それぞれに対応する部分があり、
それらが響きあい 立ちのぼっていく世界はまさに独特。
なんとも言えない味わいです。


洗濯物の白いシャツを ベランダから落とすシーンは、
まるで人を 突き落としているかのように 見えました。


10月3日にはレイトショーもあります。
興味のある方には、おすすめ。ぜひに。