心ほどける、猫映画「ネコナデ」

私の好きな映画館シネツインでは、
モーニングショーで「ネコナデ」を上映した後
レギュラーで「グーグーだって猫である」を上映して、
さらに レイトショーで「ネコナデ」を上映するという、


猫祭り開催中。


このプログラムに、とっても 心ひかれました。
さすがです。


さて「ネコナデ」、
楽しい小品です。
85分の中でできることを、
無理しないで、でも きちんとしている感じに 好感を持ちました。


ある企業の5年にわたるリストラ実行を
一手に引き受けている、人事部部長・鬼塚太郎。
その名のとおり“鬼”な仕事ぶりで、多くの人々の反感をかっている。
そんな彼が、ふとしたことで子猫を拾ってしまい育てることに…


というシンプルな物語。
物語の展開は、たぶん皆様のご想像通りなのですが、
物語に小技が効いているように感じました。


鬼塚をとりまく女性たちの描き方が興味深かった。
猫の足跡つきの背広を見て、半ばあきれてため息をつく妻。
(ガムテープを使ってキレイにする生活感!)
強面のお父さんに 果敢に抱きつく、挙句には「バカだねえ」という娘。
非情な上司を 批判するでもなく庇うでもなく、でも…
という 距離感の部下。
それぞれを通じて、彼は決して悪い人ではないのだと 伝えてくる。


ラストシーン、素敵でした。
たぶん、うまくいく。
全てを描かなくてもそんな安心感を、
先ほどの「猫の足跡つきの背広」の伏線で 与えてくれるのが、上手い。
心が ほどけました。


もちろん、猫もかわいい。
「グーグー」よりも、猫シーン多いです。
でも、


この映画で一番かわいいのは、実は 大杉漣ではなかろうか。


あんな風貌の彼が、猫のトラを抱いたり、撫でたり、
洗ったり、携帯電話で様子を見たり…
しているところが よかった。


個人的には、もたいまさこさんの存在感に
心の中で拍手してしまいました。
やっぱり素敵。
味なキャスティングです。


安直なハッピーではなくて、ちょっと苦い感じも残る。
抑制のきいた物語の収束が 大人向けの映画にしているように思いました。
安心して 楽しんで来てください。と
お伝えしたい感じ。です。


エンドロールで流れる つじあやのさんによるフィッシュマンズのカバー
「頼りない天使」も いいです。
ライブに運良く行けた、からだけでなく。
口笛ふきたく なります。