ほろにが喫茶「純喫茶磯辺」

かわいくてしっかりものな女子高生(仲里依沙)は、
ちゃらんぽらんな父親(宮迫博之)と二人暮し。
ある日父親が、突然親の遺産を相続することに。
父親はとびきり不順な動機から、喫茶店を始めることを決心するのだが…

と始まる、「純喫茶磯辺」。
「ゆるゆるした日常を小ネタを交えて描いて笑わせて、
最後はちょっとした感動で締める」
といったパターンの話を、最近日本映画で時折見かけます。
この映画も、
茶店を舞台にしたそんな映画かと思いきや。
悪気や下心があって、ぶっきらぼうでかわいくて、真面目で人でなしで。
そんなウラオモテのある人間像を描くキャラクター設定の面白さと、
麻生久美子や仲里依沙ら女性たちの頑張り、
茶店という場所がうまく活かされていて、
ちょっと違う味わい。

登場人物たちが出会うほろ苦い出来事を
一緒に経験するうちに
いつのまにか 妙な純喫茶を好きになっていたようです。

この映画見ても、
あまり珈琲を飲みたいなあとは思いませんでした。
むしろ心にこびりついたのは、チンして袋から出すだけの冷凍ピラフ。
でも、店も悪びれもせずそれを出し、お客さんもそこそこ満足していて、
一応成立しちゃってる。という感じは、
この映画の不思議な雰囲気に似ているような気もします。

広島サロンシネマで 10月3日まで。
3日にはレイトショーもありますので。