『フィンランド語は猫の言葉』


先日、稲垣美晴著『フィンランド語は猫の言葉』(講談社文庫/絶版)を再読。
今から20年前に渡芬(トフン。確かに香しい響き! ちなみに芬=フィンランド)した著者が、
フィンランド語の習得をする様子を書いた留学体験記+フィンランド文化記だ。


この本、とても面白い。
今よりずっとフィンランドに関する情報が少ない頃だったし、
(当時フィンランドにいる日本人は200人くらいだったらしい)、
大学で学ぶことの量や読むべき論文や試験も膨大な量だし、
何よりフィンランド語そのものの何だかかなり面倒そうで
まったくもって大変なことばかりなのだけれど、かなり笑える体験記だ。
著者の視線や描写がユーモアたっぷりで、読んでいると元気が出てくる。


「勉強なんて大嫌い」といいつつも彼女はとても勉強家だし、才能も能力ある方のようだ。
なにより、大変な外国語での作文を「面白い文章を書く」ことで乗り切るなど、
何事もちょっと違う視点から見て、工夫して楽しみつつこなしていく様子には感心させられた。


フィンランドに飛び込む勇気、帰国後文章にまとめ出版に奔走したバイタリティ。
加えて、この本が絶版になった後自身で出版社を立ち上げ再出版した行動力。
(2008年4月。いやはや、すごい。http://nekono-kotoba.com/ 書いてある文章も、相変わらず楽しい)

フィンランド語は猫の言葉

フィンランド語は猫の言葉

がんばらないといけないなあ、自分も。そう思わされる本でした。
勉強に苦しんでいる人、その苦しみを笑い飛ばしたい人に とってもおすすめです。


ちなみに、
この本のタイトル『フィンランド語は猫の言葉』は、こんな理由から付けられています。

フィンランド人はニーン、ニーンと言うけれど、私には猫の言葉に聞こえるから。」
[注 ニーン、ニーンとは、フィンランド語で相槌を打つときに言う言葉だが、話をしている時に相手がただ、「ニーン、ニーン、ニーン」と言うと、私はなんだか猫と話しているような気がしてくる。ある時、電話をかけたら相手がいきなり「ニーン」と出てきた。これには驚いた。一瞬、猫が電話に出てきたかと思った。やっぱりフィンランド語は猫の言葉なのだ]