園子温は今のイケてる邦画に挑戦状を叩き付けている。「お前ら、起承転で映画をおわらせんじゃねぇ!」と。/松江哲明さん(ドキュメンタリー監督)


以上、「愛のむきだし」チラシ裏より。
この松江監督の言葉、とても腑に落ちる。
確かに「起承転」とか「起承」くらいで終わる映画って、多い。
そこに余韻が残る映画もあるけれど
投げ出して終わり、という感の映画もある。
愛のむきだし」の描き尽くされた感が、私は好きだ。


私が この言葉を読んで思い出したのは
となりのトトロ」だった。
私にはどうしても「となりのトトロ」は
「起承転結」の「起承」あたりで 終わったような気がしてならないのだ。


さつきとメイが 田舎に越してくる。
トトロや猫バスと出会う。
ちょっとした事件があって、彼らと仲良くなる。
そして…


で、映画は終わる。


えええええ!?


ここからじゃん!
ここからさつきとメイの生活が始まるんじゃん!
むしろ ここからがメインじゃん!


トトロがいて、猫バスがあって
まっくろくろすけがいて
お母さんのお見舞いに行って
お父さんとお風呂に入って
学校に行って… 二人がこれから過ごす毎日の方が
よほど すごいことではないかと思うのだけれど。
映画での話は あくまでその生活のイントロ部分に過ぎない。


最後に「トトロ」を見たのがいつかは 忘れたけれど
見るたびに「ここで終わりかよー」と
不完全燃焼な気分にさせられるのだ。


となりのトトロ」が嫌いなわけではないけれど
「第一話」だけ見せられて
永遠に放っておかれている感じが とてもする。