「過去を振り返らない街」 『ブラタモリ』タモリ

過去を振り返らない街

なるほど。このタモリさんによる秋葉原のこの定義が、私にはとても新鮮でした。


ところで、メイド案内所のメイドさんから「呼びたいように呼んでください」と言われ
「お前」と呼ぶタモリさんに 何故かどきっと。
「お前、ちょっと行ってくるから。またここに来たら、お前んとこ寄るから」に またどきっと。
ただその後の「どうも時代劇になっちゃうんだよな」に
そうかあ、時代劇なのかあ。なるほど。そうかあ。ちょっとほっとしたというか 安心したというか。
タモリさんのあやしい魅力を発見しそうでした。(それともしちゃったのか)


ところで 鉄道カフェで見ていた写真の一枚、タモリさんが「バンドネオン」と言っていたものには
私も「お!」と思ってしまいました。
それまで列車の写真には あまり感じるところがなかったのですが
それは、わかった。


秋葉原のルーツを探しに行った須田町で出会った婦人が
かつて「コード」を売っていたというのは 見事な締め!
まさに「いちばん最後の<コード>!。トリ!」


過去は振り返らないけども、俺は今日ずっと、
過去を振り返ってばっかりだった。この街に来て。


思えば私も小学生の頃 親に連れられて秋葉原に行き、
当時としてはかっこよかった大きなラジカセを買いました。
もうあれから 何年も経って、ラジカセも壊れてしまったし、家族の形も 私も変わった。
秋葉原に行ったら、私も振り返ってしまうと思う。




この番組はいつも上手く作ってあるなあと 感心してみますが
今回は素材もあいまって すごいことに。夜の番組でよかった。



実家の店で繰り広げられるケンカ。畳にしみこんだ血液。


オカモチ持って出前に行った先のバーでごちそうしてもらうコーラ。
バーテンダーはコップを出し、氷を砕き入れて、栓を抜き、コーラを注ぐまでを 全て片手でやってみせる。
夜になる前の 夜の世界の匂い。大人の気配。


出前に行ったバーに女がいた。バーテンと わけありなのか。
彼女は菊地少年を抱き寄せると 泣き始める。

すすり泣きから慟哭になる瞬間にその人の匂いが変わったんですよ。
茹で上がった豚しゃぶの匂いというか。人ってマジ泣きすると匂いが変わるんだって

バーで、ストリップ小屋で、
彼は 自分が街の人たちから確実に、異様に、かわいがられていることを知っている。
自覚している。


ある日、菊地少年はストリップ小屋の踊り子に 神社の裏に誘われる。
ズボンに手をかける女。そして...
少年は 彼女の頭に嘔吐する。

天使的でいることをおりないと と思って。その瞬間 チックや吃音が治ったんです。


排泄物を何百倍にも薄めると、
香水の香りがするのだと、番組の最後に彼は言っていた。

ドロドロした体験を内側に持ち 希釈しながら妖しく美しいメロディや言葉にしているのか、彼は。