『俺たちに明日はない』についての、いくつかのこと
- ボニーの視点で見ると、ブランチはわめき散らす足手まといの女。
でも、橋本治はこう語ったと言う。
そこが"家庭"じゃなかったら、ボニーにだって居ようはある。"意識的な女"というのは、個的にならざるをえなきゃならない訳だから、孤独であることには強い。「自分は自分」で、なんでも一人でやってのけられるけれど、でも"家庭"というところは、そういう女になんの役割も与えてはくれない。C・W・モスとクライドと、その兄貴とその嫁さんの夫婦は、平気で"食後の団欒"をやっている。
でも、ブランチだって不幸だ。警察に追われて、夫は射殺されて、自分は目を撃たれて盲目になってしまう。もう"外"は見えない。でも、見つめるべき自分の内部には、なんにもない。「一体"自分"てなんだろう?」----そう思った時、彼女にはなんにもなかった。そんな身動きの出来なくなった彼女を、カメラはただ黙って写している。
ボニーのようなあり方を拒絶したら、"女"というものの中には空白しかない。(橋本治の『虹のヲルゴオル』 http://cineres.asablo.jp/blog/cat/movie/ からの引用)
2005年には同じくアメリカ映画協会によって、作中の台詞
「俺たちが銀行を盗む」(原文:We rob banks)が
名台詞ベスト100中第41位に選出された。 (wikiより)
- フリッツ・ラング/1937 『暗黒街の弾痕』も 見なくては。
- クライドが性的不能であることの意味と、後の映画への影響などが気になります。
実話とはいえ、クライドの設定は当初違ったとか。町山さんの本を再読しなくては。
『俺たちに明日はない』を見たのは10年以上ぶり。今回はボニーの母親のシーンがとても心に残った。
「母親に会いたい」と言い出すボニー。
「一緒に暮らせるはずがない。おまえたちは一生逃げ続けるだけ」という母親。
母親を恋しく思う娘の気持ち、
娘を愛しているけれど本当のことを言い放つ母親。
画面には紗がかかっていて 幻想的な場面。でも、どちらの気持ちも心につきささるようだった。
久しぶりに見て 以前と印象に残るシーンが見事に違い
それが今の自分の生き方に如実に重なるところが
悲しいというか、なんというか。
「初めのうちは、世界を征服したみたいだった」
「もう終わりね。逃げるだけよ」
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C・W・モスを見ていて、『ハリー・ポッター』シリーズのロン・ウィーズリーをちょっと思い出しました。
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