モントリオール映画祭で何も受賞しませんように。「Dear doctor」監督/西川美和 出演/笑福亭鶴瓶、瑛太、余貴美子

 待ちに待っていた西川美和監督の最新作「Dear doctor」を見た。
 見終わって10分後に、泣いてしまった。
 
 生死が絡み、余貴美子が出演していて、
 モントリオール映画祭に出品されるということから
 つい「おくりびと」を連想してしまうのだけれど
 技法の質も題材の深みも役者の上手さも科白の良さも
 ついでに 余さんの演技と使い方の上手さも
 映画としての品質は「Dear doctor」の方が数段上。と私は思います。


 ぜひとも、モントリオール映画祭で何も受賞しませんように。
 納棺師の所作のエキゾチックさに眼を奪われてしまい(想像)
 とことん都合がいいだけの「おくりびと」に作品賞を与え、
 がっくりきちゃう描かれ方だったネット社会やアキバっぽさを勘違いして(想像)
 つっこみどころ満載の「誰も守ってくれない」に脚本賞を与えるという
 とんちんかんな映画祭が
 やはり信用ならんことを証明してほしい。
 モントリオール映画祭には、「Dear doctor」の良さはわかるまい。


 ...まあ授賞したらしたで、
 「ああ あの映画祭すら感動させる映画なんだ」と
 納得するのみだけれど。