『フロスト×ニクソン』『GOEMON』

図書館でレポート用に本を二冊読む。平日の昼間は好きな窓際の席が空いていて、得した気分。
今日 同じ机をシェアしたのは、背広でビジネスカバンを持ったサラリーマンと学生っぽいおしゃれ男子。
両方とも こういう席ではあまりお目にかからないタイプだった。
資料を探して2冊借りる。


広島サロンシネマで『フロスト×ニクソン』を見る。
この映画館は大好きなところなのだけれど、それ以上に 窓口に座っているスタッフさんが好きだ。
今日は あかるい色のボブに笑顔がかわいい人。
私を見ると 両手で手を振ってくれて 超うれしい。今日イチの幸せ。


フロスト×ニクソン』は、評判にたがわず面白かった。
実際のインタビューでも効果的だったというクローズアップがうまく活かされていた。後半、ぐいぐいくる。
インタビューシーンは まるでボクシング。
セコンドとも言える ケヴィン・ベーコン以下ニクソンの取りまきや フロストを支えるスタッフたちが むしろ印象的。
ニクソン役のフランク・ランジェラの演技は、大統領の貫禄から 不安や弱さまで演じ分け、
鍵となる微妙な表情も まさに微妙で、特に良かった。


その後 試写会に当選して『GOEMON』。
…すごい。
こんなに映像が作り込んであるのに、何ひとつ“映っていない”。
情報が何も映ってないし、何も伝わってこない。
イントロは この映画の世界観を表わすカットなのだろうが、アホかと思うほど城が建っていて さっそく引いた。
同じような意味合いのカットから始まる『K-20/怪人二十面相・伝』を思い出す。
『K-20』も 私はそれほどいいとは思わなかったけれど、『GOEMON』に比べれば 観客のことを考えてくれた感じがする。
「一人の男が自由を求めた末、どうしても逃れられない運命と対峙し、自己の本分を全うしようとする物語」という、
上映前に紹介された監督のこの映画に関するコメントが 既に意味不明だったので 悪い予感はしていたのだけれど、まさか ここまでとは。
途中から 見ることを放棄。
この脚本読んだ関係者は 何を思って製作にgoを出したのだろう。
多分、読んでもよく分からなかったんだろうな。でも 分からないって 言えなかったのかな。


『GOEMON』には 完成までに相当の年月お金がかかったらしい。
そのお金を、才能のある映画監督さんたちに分けられたら、どんなに日本映画が豊かになるだろう。
私だったら どなたに資金を差し上げようか。
妄想しながら 電車に乗った。